2013年03月07日

私生活の非行に対して懲戒できるか

こんにちは。お疲れ様です。

啓蟄が過ぎました。日照時間が長くなり、寒さもやわらいできて(多分)、春に向かっている力を感じます。

さて、数回に渡って懲戒処分について述べておりますが、今回で一区切りつけます。

私生活上の非違行為について会社が懲戒権を行使できるのか、という件について考えます。

原則から言えば、会社は労働者の私生活上の行為に対して懲戒処分は行えません。
労働者が悪いことをすれば、会社が何かするより先に、国によって制裁を受けるから、というのも理由の一つでしょう。

しかし、私生活と業務の区別がつきにくい場合や、私生活上の行為が会社に不利益を与えることもあり、状況によっては懲戒処分の対象となり得ます。

以下、具体的に裁判例を挙げます。

社宅において、会社を誹謗中傷する内容のビラを配った社員を、けん責処分とした案件は有効であると最高裁は認めました。企業秩序を維持するために許容できると認められたからです。けん責という、比較的軽い処分であったことも要因と考えられています。(関西電力事件)

私生活で住居侵入罪の罰金刑(2,500円)を受けた従業員を懲戒解雇した案件は無効とされました。会社の組織や、業務に関係がないことであり、そもそも罰金2,500円という軽い刑罰だったので、解雇は不相当である、ということのようです。(横浜ゴム事件)

他、面白い(?)判例があります。職場不倫について、職場の風紀や秩序を乱したとまでは言えない、として懲戒解雇を無効にした例もあれば、バス運転手とバスガイドのペアについては普通解雇を有効とした例もあります。

とりあえず、私生活上の従業員の非行について、会社は軽い懲戒を行うのが無難であるように感じます。
それから、行った行為がどの程度会社の秩序や業務と関連があるか、行為自体が刑法的にどれほど重い罪にあたるのか、といったことを考慮して判断するのが適当でしょう。

今日はこんなところです。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
posted by 坂元修二 at 13:53| Comment(0) | 労務管理
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