2014年05月25日

精神疾患に罹患している従業員を、会社が指定する医師に受診させることは可能か

こんにちは。お疲れ様です。

5月も終わろうとしていますが、5月病が疑われる方はお近くにいらっしゃいませんでしょうか。

ここ数年、鹿児島でも、精神疾患に罹患する方が珍しくなくなってきました。

企業側から見れば、早期に治療して、万全の状態で労務を提供してほしいところです。

しかし、実際のところ「君、メンタルクリニックに行ったらどう?」なんて安易に言えたものではありません。
まして、「〇〇クリニックに行ってきたまえ」と、受診先まで指定するのは、プライバシーの問題になりそうで、二の足を踏む方もいらっしゃると思います。

結論を申しますと、合理的な理由があれば、受診先を指定して、受診を勧めるのは可能です。

病状がなかなか回復しない、職場の秩序が明らかに乱されている、労務の提供に長期間支障が出ている、といったことがあれば、就業規則に基づいて病院で受診するのを命じることができます。(ケースによっては、就業規則で定めていなくても、受診を命じることができます。「京セラ事件」参照)

もちろん、就業規則で定めている手順や、労働者の気持ち、プライバシーなどには配慮が必要です。まずは、産業医と相談する、任意の受診を勧める、といったことから始めると良いでしょう。

会社が受診先を指定したところで、労働者が他の病院に掛かることを禁止するわけではない、ということもあり認められているようです。

仕事が原因なら、労災の可能性も出てくるかもしれません。また、精神疾患以外の疾患についても基本的には同様の考え方で良いです。

今日はこんなところです。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
posted by 坂元修二 at 22:29| Comment(0) | 労務管理

2014年05月13日

偶然完全

こんにちは。お疲れ様です。

今回は雑談です。

先日、NHK総合にて、「ラストデイズ 勝新太郎×オダギリジョー」という番組を見ました。

勝新太郎の軌跡をオダギリジョーが追う、という内容の番組で、大変面白かったのですが、勝新太郎の名言で偶然完全という言葉が出てきました。

大雑把な意味は、「台本通りの映画ではなく、偶然起こった出来事を取り入れることで、完全な映画が出来上がる」というものです。
人生は偶然の重なりなので、リアリティを追及するために偶然を取り入れるというのは、ある意味理に適っていると思いました。

私はこの言葉を聞いて「世の中に無駄なことなんてない」と自分が良く言っていたことを思い出しました。
遊び好きな大人も好んで使う言葉ですが、私はこの言葉を生徒に対して話していました。

私は、学生時代の塾講師から始まり、教員まで、延べ10年程、学生相手の仕事をしていました。
良く受けた質問(愚痴)の一つが「〜の勉強をして、何か役に立つの?」というものでした。

それに対する答えは、「そういう決まりなんだから、黙って勉強しなさい」という無茶苦茶なものから、「どこかで役に立つよ。無駄になることは無いよ」という当たり障りのないものまで、自分の中でいくつか、パターン化されておりました。

学生が相手だった時には、「正しいこと」を教えなきゃいけないという意識から、私の視点は固定化されていたと思います。

今やっている仕事は、基本的に大人相手の研修なので、「どういえばこの人は納得してくれるか」を常に考える習慣が身についているように感じます。

今なら、学生からの質問に対して「無駄かどうかは、最後までわからないよ」という答え方をしそうです。


…と、テレビを見ながら考えておりました。

今、私が研修業務や社労士、カウンセラーの仕事をやっているのは、所々偶然が重なった結果でもあります。結果的に、視野が広がった(多分、かなり多分、いや、勘違いかもしれませんが)のであれば、偶然によって完全に近づけた、ということなのかもしれません。

…わずかに近づいただけで、完全にはまだまだ程遠いですが。


今日はこんなところです。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

posted by 坂元修二 at 23:28| Comment(0) | 一般

2014年05月08日

業績給の導入について

こんにちは。お疲れ様です。

ゴールデンウィークは有意義に過ごされましたでしょうか。
サービス業の方々にとっては繁忙期、即ち稼ぎ時でしたでしょうか。
快晴が、吉と出る業種もあれば凶と出る業種もあります。
肌寒い夜が続いています。自然は未だにどうにもならないものです。

4月に人事異動がある企業様が多いと存じます。

「昇格したものの、業績給という制度に変更になった」という友人がおりました。営業の管理職になったことで、歩合による手当ての幅が大きくなったそうです。元々そういう規則で運用されており、最低保障ラインがあるようなので、問題はなさそうでした。

もし、会社が途中で業績給制度を導入し、それによって給料が下がる可能性があるのであれば、労働条件の不利益変更になる可能性があります。

不利益変更は、原則として、労働者から個別の同意を得なければなりません。若しくは、就業規則の改定でも対応可能ですが、不利益と変更の必要性のバランス、変更後の労働条件の妥当性、代替措置や移行期間の設定、などを考慮する必要があります。

個別の同意を得ても、「労働条件は就業規則の条件を下回ってはならない」という法律がありますので、結局、就業規則を変更することになると思います。たまに忘れる方がいらっしゃいますのでご注意を。

業績給の導入については、業績を判断する客観的な基準が定まっていれば、概ね認められるようです。

確固たる基準があれば、法律を持ち出すまでもなく、皆納得できるということでしょうか。

今日はこんなところです。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


posted by 坂元修二 at 00:10| Comment(0) | 労務管理